正文 二 - 5

今朝見た通りの餅が、今朝見た通りの色で椀の底に膠着(こうちゃく)している。白状するが餅というものは今まで一辺(ぺん)も口に入れたがない。見るとうまそうにもあるし、また少しは気味(きび)がわるくもある。前足でにかかっている菜っ葉を掻(か)き寄せる。爪を見ると餅の皮(うわかわ)が引き掛ってねばねばする。嗅(か)いで見ると釜の底の飯を御櫃(おはち)へ移す時のような香(におい)がする。食おうかな、やめようかな、とあたりを見廻す。幸か不幸か誰もいない。御三(おさん)は暮も春も同じような顔をして羽根をついている。供は奥座敷で「何とおっしゃる兎さん」を歌っている。食うとすれば今だ。もしこの機をはずすと年までは餅というものの味を知らずに暮してしまわねばならぬ。吾輩はこの刹那(せつな)に猫ながら一の真理を感した。「難き機はすべての動物をして、まざるをも敢てせしむ」吾輩は実を云うとそんなに雑煮を食いたくはないのである。否椀底(わんてい)の様子を熟視すればするほど気味(きび)が悪くなって、食うのが厭になったのである。この時もし御三でも勝手口を開けたなら、奥……(内容加载失败!)

(ò﹏ò)

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