正文 九 - 4

鏡は己惚(うぬぼれ)の醸造器であるごとく、同時に慢の消毒器である。もし浮華虚栄の念をもってこれに対する時はこれほど愚物を煽動(せんどう)する具はない。昔から増慢(ぞうじょうまん)をもって己(おのれ)を害し他を (そこの)うた蹟(じせき)の三分の二はたしかに鏡の所(しょさ)である。仏国革命の時物きな御医者さんが改良首きり器械を発明して飛んだ罪をつくったように、始めて鏡をこしらえた人も定めし寝覚(ねざめ)のわるいだろう。しかし分に愛(あいそ)の尽きかけた時、我の萎縮した折は鏡を見るほど薬になるはない。妍醜瞭(けんしゅうりょうぜん)だ。こんな顔でよくまあ人で候(そうろう)と反(そ)りかえって今日(こんにち)まで暮らされたものだと気がつくにきまっている。そこへ気がついた時が人間の生涯(しょうがい)中もっともありがたい期節である。分で分の馬鹿を承知しているほど尊(たっ)とく見えるはない。この覚(じかくせい)馬鹿(ばか)の前にはあらゆるえらがり屋がことごとく頭をげて恐れ入らねばならぬ。人は昂(こうぜん)として吾を軽侮(けいぶ……(内容加载失败!)

(ò﹏ò)

抱歉,章节内容不支持该浏览器显示~

【为了使用完整的阅读功能】

请考虑使用〔Chrome 谷歌浏览器〕、〔Safari 苹果浏览器〕或者〔Edge 微软浏览器〕等原生浏览器阅读!

谢谢!!!

九 - 3目录+书签九 - 5